1980-01-01から1年間の記事一覧

静かな足音

つい今しがた降り始めた雪が、あっという間に大地を白く塗り替えていく。 音も無く大地を白く被い、馬の背にも積もらんと静かに降り続く雪は長く厳しい冬の始まり。モノクロとなりつつある世界を有彩色の列車が行く。

小貨物駅

本線の上を列車が走らなくなってからどれくらいたつのだろうか。かつて駅であった場所から少し離れた側線に小さな貨車が一輌。傾きかけた日の下で、まるで待ちぼうけにあったようにぽつりとたたずんでいる。 貨物ホームだったと思しき所にはコンテナーが1個…

ヒグラシの鳴く駅で

観光客の喧騒とは無縁のローカル線。何も無いことを求めてやって来るには最高の場所。何も無い…何も無い…太陽、空気、風、そして錆とオイルの匂い。何も無いわけがない。 日も傾き、ヒグラシが鳴き始めた頃、因幡から来た列車と美作からやってきた列車がすれ…