異世界への入り口
夜になってもやわらぐ事の無い熱気、その湿気と煙にヘッドライトが滲む。這い回るパイプ、聳え立つタンクとエントツ、ところどころを水銀灯の灯りが照らすここはまるでSFの世界。
奇妙に人気が無く無機的な景色は自分が小人になってしまったよう。そんな中を機関車がタンク貨車を引っ張って現れてどこかへと消えて行く。
あの列車は何処から来たのだろう?荷物を積んで何処へ行くのだろう?追いかけてみたい。でも、追いかけたらきっとどこかで見失うのだ。そうしたらきっと戻ってくる事は出来ない。そして誰に会う事も無く永遠に彷徨わねばならない。そんな不気味さすら漂わせる幻想的な工場の夜。
特に何処をモデルにしたと言うわけでは無いですが、近所に日本製紙の工場があり、夜中にその近くを走ると不気味さや幻想的な感覚が入り混じった不思議な感覚になってくるので。
ちなみに背景の殆どは写真です。